前回の記事で元色(その宝石のもつ最も薄い色の部分)が高品質な宝石における重要な要素の一つであること。
また、稀少な石ほど、元色が単色であることをご説明させて頂きました。
今回はその元色や単色の具体的な内容や確認方法を書かせて頂きます。
まずは実際に、ちょっとルースを見ていただきましょう。
以下2枚の画像A~Jの10個のルースは、すべて同じ産地(ビルマ)のブルーサファイアです。
上のグループ(上画像)と、下のグループ(下画像)とで何が違うかというと、
実は「元色」が違うんです。
上は、単色ではないグループ、かつ5つとも全部元色が違います。
下は、単色のグループ、かつすべて元色が同じです。
つまり、上のグループは元色を表すのにA~E各種の絵の具=5本いりますが、
下のグループは絵の具は1本でいいのです。
これの意味するところは、上のグループはどれも色の「立ち」が違い、
下のグループはどれも色の「立ち」が同じだということです。
平たく言うと、Aのルースの色はどれだけ頑張って濃くしてもFの色にはなりません。
その宝石の「一番濃い色」は「元色」が濃くなったものですから、
そもそもAとFでは元色が違うので、Aの元色を濃くしても、Fの濃い色にはなりません。
同様にA~Eのどの元色も下のグループの濃い色にはならないんです。
つまり、元色が単色ではないものは濃くすれば、それぞれ異なる色になります。
その効果が石に見かけ上の色のムラとなり現れます。
宝石は色が濃い方が価値が高いとされるものが多いですが、
ただ色が濃ければ価値が高いのかというと、そうではないことが、
この色の「立ち」からお分かりいただけたのではないでしょうか?
さて、元色が違う上のグループは、
見た目にも分かりやすく色が混じっているダメなルースを選んでいますので、
同グループのA~Eで比較しても、下のF~Jと比較してもなんか色が違うなーっていうのは
わかって頂けるのではないでしょうか。
では、たとえばEは、まだ一番色の混じりが少ないきれいなルースなんですが、
これが下のグループに混じっていても、
ルースを見慣れていない方だと、あんまり違和感ないんじゃないでしょうか?
あるいは、
もしかしたら、下のグループの元色が全部同じ色と言われても
「違うんじゃない?」と、思われるかたもおられるかもしれません。
上グループA、B、Dのような
見かけ上で十分に色の立ちが違うと判断できるものもありますが、
透明度は高いですが、色が混ざっているCやCよりも色の混ざりの少ないEは、
パッと見では元色の判断は難しいかもしれませんし、下のグループの石を見て比べなければ、
印象としては、なんとなくスッキリした青でしかないCも、
十分に美しく感じてしまうかもしれません。
下のグループに関しては元色が単色かつ濃い色合いの石ですので、
H、I、Jはパッと見ではほとんど分かりません。
出来ればどのような石にも行った方がいいのですが、
特に稀少性の高い宝石を探されていて、
見かけが美しい宝石の比較、判断が必要な時はライト(光)を使って色を検分する必要があります。
大事なことなので繰り返し申しますと、元色は見た目の色とは違います。
ルースを選ぶ際はどんな石でも見かけの色だけで判断するのではなく、
しっかりとしたやり方で元色を確認されることをお奨めします。
次回はライトを使った、実際の元色の確認方法について書かせて頂きます。
ご興味お持ち頂けましたら、是非、下記記事も合わせてお読みくださいませ。
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